さまざまな臓器や組織の細胞に変化でき、再生医療の切り札として期待されるヒトiPS細胞(新型万能細胞)を、治療に使えるようにする厚生労働省の臨床研究指針が29日、まとまった。
iPS細胞の臨床応用を認めた指針は世界初。11月1日に施行される。
京都大の山中伸弥教授らが2007年に皮膚細胞から作製に成功したiPS細胞は、もう一つの万能細胞であるES細胞(胚性幹細胞)と違って生命の萌芽である受精卵を壊さずに作製できる。
このため倫理上の問題は少ないが、発展途上の技術だけに、ES細胞ほど性質が一定しないなど、課題も多い。
そこで指針では「安全性や倫理性の確保に盤石の体制の構築が必要」とし、常に新しい技術を取り入れて安全性を確認することや、
患者に対し積極的に正しい知識を伝えること、患者団体の意見にも配慮することなどを規定。技術の進歩が非常に速いため、必要に応じて指針の見直しを行うとしている。
(2010年10月30日03時09分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20101030-OYT1T00038.htm