◇乳がん新手術法「傷目立たず、負担も少なく」 金沢医科大病院の野口教授
金沢医科大病院乳腺内分泌外科の野口昌邦教授が25日までに、乳房の傷跡が目立ち
にくい新たな乳がんの手術法を確立した。乳輪や脇の下などを切開し、切り口を移動させて
施術する独自の技術で、患者の体の負担が小さい。乳房を残したいという女性の願いと、
がんの治癒を両立する手術法として、普及させたい考えだ。
日本では乳がんの発症者が年々増加しており、現在、年間4万人を超える女性が新しく
乳がんにかかっている。近年乳がんの手術は、腫瘍(しゅよう)だけを切り取り、乳房を残す
「乳房温存手術」が普及しているが、傷跡が目立ったり、乳房が変形してしまう症例も
少なくなかった。
乳がん手術の第一人者である野口教授は、乳輪の周囲や脇の下など目立たない部位を
2、3センチ切開し、皮膚の保護などに使う器具をはめ込んで移動させ、直視しながら手術を
行う方法を開発した。窓を移動させるような動きから、この手術法を「ムービングウインドー法」
と名付けた。
この新技術は、従来と比べて乳房の傷跡が目立ちにくく、最近普及してきた内視鏡手術と
比べても手術時間が短く、出血量も少ない。保険適用内で行えるほか、内視鏡など高価な
器具を使わないため、病院側の費用が節約できる利点もある。
これまでの手術で、従来の一般的な乳房温存手術より傷跡が小さく、乳房の変形も
少ないことを確認した。すべての乳腺組織を取り出した場合に、形成外科と連携して
乳房を再建する手術にも応用している。
野口教授は、病院内で乳房再建技術を持つ形成外科や、集学的がん治療センターと連携し、
患者の状態と希望に応じた治療を進める考えで、「傷口が小さくても再発しやすいということはない。
命も乳房も失いたくないという患者の望みをかなえたい」と話した。
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▽記事引用元
http://www.hokkoku.co.jp/subpage/H20101026104.htm 北国新聞(
http://www.hokkoku.co.jp/)配信記事 10月26日03時17分更新