コメのカドミウムの蓄積を抑制する遺伝子を同定しました
[著者] Ueno, D., Yamaji, N., Kono, I., Huang, C.F., Ando, T., Yano, M., and Ma, J.F.
[タイトル] Gene limiting cadmium accumulation in rice
[掲載誌] Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. doi:10.1073/pnas.1005396107.
[共同研究] 農業生物科学研究所
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[内容紹介]
カドミウム(Cd)は人体にとって有害な元素で、イタイイタイ病の原因物質とされている。
主食であるコメ中のカドミウムが安全基準値を超えると、次第に人体に蓄積し、健康に
悪影響を与えるため、コメ中のカドミウム濃度を低減させる必要がある。
我々は世界各地のイネ品種から選抜したカドミウム高集積品種と低集積品種を用いて、
カドミウムのコメやワラへの蓄積を抑制する遺伝子OsHMA3を発見した。
この遺伝子がコードするOsHMA3タンパク質は根のすべての細胞の液胞膜に局在する。
低カドミウムイネ品種のOsHMA3タンパク質はカドミウムを選択的に輸送し、カドミウムを
液胞に隔離する機能を持っていた。一方、カドミウム高集積品種のOsHMA3タンパク質は
カドミウムを輸送する機能を失っていた。これらのことからカドミウム低集積品種では根に
吸収されたカドミウムを根の細胞内の液胞に隔離することによってコメやワラへの集積を
抑制していることが明らかになった。さらにこの遺伝子をより強く発現させると、コメ中の
カドミウム濃度を著しく低下させる効果があり、今後安全なコメの生産に寄与できる。
(植物ストレス学グループ・馬 建鋒)
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▽記事引用元 岡山大学 資源植物科学研究所
http://www.rib.okayama-u.ac.jp/researchactivities/Researchactivitiy2010/researchactivity_20101013.html ▽関連リンク
PNAS
Gene limiting cadmium accumulation in rice
http://www.pnas.org/content/107/38/16500.abstract