てんかん発作を引き起こす新たな脳細胞のメカニズムを発見したと、
玉川大脳科学研究所(東京都町田市)などの研究グループが13日付の米科学誌「ジャーナル・オブ・ニューロサイエンス」で発表した。
研究グループは「これまで抗てんかん薬では治療が不可能だった難治性てんかんの治療のきっかけになるのではないか」としている。
同研究グループは、てんかん患者の中でも最も多く見られる「側頭葉てんかん」について、抗てんかん薬に効果の有無があるのは、
てんかん発作のメカニズムに違いがあると考え、ラットの脳細胞の一部を切り出して実験。
電気を流して人工的にてんかん発作の状態を引き起こした結果、
通常時は神経細胞の活動を抑制している「介在細胞」が一時的に興奮作用に転じることを発見した。
脳細胞が発生させる興奮性伝達物質の「グルタミン酸」を遮断しても同様の結果を得られたという。
従来は介在細胞がてんかん発作を抑制すると考えられており、抗てんかん薬は、この介在細胞の働きを強化する効果があった。
今回の実験では、介在細胞が他の細胞に働きかけないようにする薬を投与したところ、てんかん発作を完全に消失させることもできたという。
研究グループ責任者の磯村宜和・玉川大教授(神経生理学)は「他の種類のてんかんでも、
このメカニズムが当てはまるかを確かめたい。
また興奮作用に転じた介在細胞を抑える薬をどのように投与すれば症状が治まるのかも研究していきたい」と話している。【松本惇】
毎日新聞 10月13日(水)10時29分配信
▽記事引用元 毎日JP
http://mainichi.jp/select/science/news/20101013k0000e040006000c.html ▽論文掲載先 ジャーナル・オブ・ニューロサイエンス(10/13日の号は未掲載)
http://www.jneurosci.org/