免疫細胞などが持つタンパク質を分解する酵素「カテプシンL」の働きを抑えることで、
血糖や尿糖が下がり1型糖尿病の病態が大幅に改善することを、
徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部の林良夫教授らの研究グループが、マウス実験により世界で初めて突き止めた。
1型糖尿病の新たな治療法に道を開く発見で、23日付の米電子科学誌「プロスワン」に掲載される。
1型糖尿病は、インスリンをつくる膵臓(すいぞう)の細胞が、自分の免疫細胞に攻撃されることで起こる自己免疫疾患。
生活習慣の要因が大きい2型糖尿病と違い、小児や若年期に発症することが多い。厚生労働省によると、患者数は全国で約19万人。
糖尿病の1割ほどを占めるとみられる。インスリン注射で普通の生活を送ることはできるが、完治する治療法はない。
林教授らは、1型糖尿病を発症したマウスの免疫細胞のうち、
「CD8陽性T細胞」と呼ばれる細胞でカテプシンLが特に強く働いていることに着目。
カテプシンLの働きを抑える薬剤を投与したり、RNA干渉と呼ばれる方法で遺伝子の発現を抑えたりしたところ、
4週間後には血糖値が3分の1、尿糖は0になった。
画期的な成果
能勢眞人愛媛大学プロテオ医学研究センター長の話 ヒトの1型糖尿病のみならず、
他の自己免疫疾患や移植拒絶でも特定の分子の機能を抑えることで病気を治す「標的分子治療」の発展につながる画期的な発見だ。
徳島新聞(2010/09/23 20:00)
▽記事引用元 徳島新聞
http://www.topics.or.jp/localNews/news/2010/09/2010_128522124692.html