性染色体の一つにある遺伝子が異常に働くと、体細胞クローン技術によるマウスの出生率が低下することを、
理化学研究所バイオリソースセンター(茨城県つくば市)の小倉淳郎室長らが突き止めた。
この遺伝子を働かなくすると、出生率は8〜9倍に高まり大幅に改善。
今後、畜産分野などでの応用も期待される。16日付の米科学誌サイエンス電子版で発表した。
同じ遺伝情報をもつ動物を作り出す体細胞クローン技術は、核を取り除いた未受精の卵子に、
ほかの個体の皮膚など体細胞の核を移植。できた胚を代理母役の雌の子宮に入れ出産させる。
1996年に哺乳類で初のクローンヒツジ「ドリー」が誕生したが、クローン動物の出生効率は低い状況が続いていた。
小倉室長らは、クローン技術でできたマウスの胚の遺伝子を解析したところ、
性染色体の一つであるX染色体上で、ほかの遺伝子の働きを抑える「Xist遺伝子」が異常に働いていた。
X染色体には、胚から胎児が発生するのに必要な遺伝子がある。
Xist遺伝子を働かなくしたX染色体を持つマウスを用いてできたクローン胚からは、クローンマウスが高い効率で生まれた。
共同通信(2010/09/17 03:02)
▽記事引用元 47NEWS
クローン出生率8〜9倍に 理研がマウスで成功
http://www.47news.jp/CN/201009/CN2010091601000915.html ▽理化学研究所 プレスリリース
マウス体細胞クローンの産子出生効率が10倍近くも改善
−X染色体上の遺伝子群発現の正常化が体細胞クローン技術を実用化に導く−
http://www.riken.go.jp/r-world/info/release/press/2010/100917/detail.html