動きが少ないヒラメの健康管理は血液検査で――。
養殖ヒラメの病気を簡単に発見できる「解析チップ」を今春、
独立行政法人水産総合研究センター養殖研究所(三重県南伊勢町)などのグループが開発した。
養殖ヒラメは養殖ブリやタイに比べて比較的高値で取引されているが、
魚病に有効なワクチンは少なく、現場での「定期検診」による早期発見で
病気の流行を防ぐ効果が期待されている。
ヒラメは動きが少なく、病気にかかっているかどうかを見極めるのが難しい。
さらに、症状が出た魚から腎臓や脾臓(ひぞう)などを取り出して24時間以上培養して、
病原体を特定するための検査が必要だった。時間がかかるため、
その間に病気が広がり、被害が大きくなっていた。
そのため、同研究所と大分県農林水産研究指導センター、
日本獣医生命科学大学(東京)のメンバーが3年前からヒラメの
魚病診断の方法について研究を始めた。ヒラメの血液中のたんぱく質に着目。
ウイルスや細菌に感染すると生成する特異的なたんぱく質を解析チップの上で
試薬と反応させる方法を思いついた。
解析チップは、「抗体チップ」と「プロテインチップ」の2種類。
発色パターンから、養殖で大きな被害をもたらす「エドワジエラ症」などを起こす細菌や、
「VHSウイルス症」のウイルスに感染したかどうかに加え、進行の度合い、
過去の感染履歴まで短時間で診断できるという。
ヒラメは生産規模が、ブリやタイなどに次ぐ養殖魚だ。
ただ、同研究所によると、2004〜08年、エドワジエラ症などの魚病による
被害率(生産額に占める被害額の割合)は13〜31%と極めて高かった。
魚病に有効なワクチンも少ないため、養殖経営を圧迫してきた。
今後、この診断技術を簡略化し、現場で利用できる簡易な道具に改良する予定だ。
同研究所病害防除部の乙竹充部長は「人間が健康診断を受けるように、
定期的な血液検査によってヒラメの健康管理をできるようにしたい」と話している。
解析チップの概要図
http://www.asahicom.jp/science/update/0816/images/NGY201008160007.jpg ▽記事引用元 : aashi.com 2010年8月16日17時32分
http://www.asahi.com/science/update/0816/NGY201008160005.html 水産総合研究センタープレスリリース
迅速に、生かしたまま、養殖ヒラメの病気を診断する「解析チップ」を開発 平成22年7月14日
http://www.fra.affrc.go.jp/pressrelease/pr22/220714/