◇かぐや功績で栄誉 奥州拠点のRISEプロジェクト
奥州市水沢区の国立天文台VLBI観測所を拠点とするRISE月探査プロジェクト
(河野宣之代表)は、日本測地学会(東京)の坪井賞(団体)を受賞した。
月周回衛星「かぐや」の機器開発や運用に携わり、月全体の正確な地形、重力を
世界で初めて明らかにした功績が、月の測地学を推進したとして高い評価を受けた。
測地学は地球の形状や運動、成り立ちなどを調べる学問。
坪井賞は地球物理学者の故坪井忠二氏を記念して創設され、
毎年測地学で業績を挙げた個人団体に贈られる。
同プロジェクトは、2007年に打ち上げられた「かぐや」の子衛星2機とレーザー高度計を開発。
月の裏側の重力と地形観測の中心的役割を担った。
月面の起伏や重力などのデータが得られ、月の地下構造や地殻の分布などの解明が進んだ。
国内外の数多くの研究機関や大学、企業がプロジェクトに加わり、地道な研究が結実した。
河野代表(65)は「困難は多かったが、できなかったことはないぐらいの大きな成果があった。
学会の評価は大変名誉」と語る。
佐々木晶プロジェクト長(50)は「多くの協力があってこそ。開発や打ち合わせなどの長期の
努力があり、成果に結び付けた。地球をメーンにする測地学会からの評価はうれしい」と喜ぶ。
プロジェクトは現在、かぐやのデータ解析と次の月探査計画へ準備を進める。
同観測所の研究グループが坪井賞を受賞するのは2度目。
河野代表(奥州)、中国が招聘 上海天文台教授務める
「かぐや」による月探査プロジェクトに長年携わった河野宣之代表(国立天文台名誉教授)
=奥州市水沢区桜屋敷=は、昨年9月から約1年間、中国に「国家特別招聘(しょうへい)
研究員」として招かれ、中国科学院上海天文台の教授を務めている。
河野さんは月探査に関する研究のほか、中国各地の大学や研究機関から集った学生に
対して講義を行っている。現地での講義録は翻訳され、大学院の教科書にもなる。
月への有人着陸探査など、国を挙げて宇宙の研究開発に取り組む中国。
上海天文台には、水沢の観測所で河野さんが指導した中国人研究員もおり、
現在は著名な天文物理学者として活躍しているという。河野さんは「中国の宇宙研究は、
日本の倍ほどの早さを感じる。学生の意欲は高く、ものすごく勉強している。能力も高い」
と驚きを語る。
【写真=坪井賞を受賞したRISE月探査プロジェクトの(左から)河野宣之代表と、佐々木晶プロジェクト長】
http://www.iwate-np.co.jp/news/y2010/m06/d09/rise-p100609.jpg (2010/06/09)
▽記事引用元
http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20100609_4 岩手日報(
http://www.iwate-np.co.jp/index.html)配信記事
▽関連リンク
国立天文台 RISE月探査プロジェクト
日本測地学会坪井賞受賞
http://www.miz.nao.ac.jp/rise/news_20100607