【生物】ミズクラゲの嫌がる物質を特定 石垣島産の海藻・マクリから抽出した成分/広島大・東京海洋大チーム

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1白夜φ ★
◇海藻でミズクラゲ退散、広島大・上教授らマクリから成分を特定
 今年度実証実験、環境への影響なし

発電所の冷却水パイプを詰まらせて問題となっているミズクラゲの嫌がる物質を、
東京海洋大海洋科学部の石井晴人助教や広島大生物生産学部の上真一教授らの
研究チームが特定した。石垣島産の海藻・マクリから抽出した成分で、環境への影響も
ないといい、大量発生の抑制に向けて、今年度、東京湾などで実証実験を始める。

ミズクラゲは夏季を中心に大量発生し、漁網にかかったり、発電所の冷却水のパイプを
目詰まりさせたりすることがある。中国電力では対策として瀬戸内海や日本海沿いの
火力発電所の取水口に進入を防ぐ網を設置しているが、引っかかったクラゲの除去に
手間がかかるという。

研究では、マクリなど、海藻やホヤ類、海綿動物など約60種類の抽出物質を使った。
各抽出物質を塗ったプラスチック製のプレートにクラゲの幼生が寄りつくかや、
抽出物質を溶かした海水中にポリプを入れて、2日間観察した。

その結果、マクリの抽出物質は、塗った場合は幼生が付着せず、海水に溶かした場合は
ポリプが死滅した。一方で、フジツボの付着には影響を与えないことを確認。天然由来の
成分なので、自然に分解され、環境への蓄積も考慮せずに済むという。

クラゲの幼生は、自然の中では大部分が係留された船や浮き桟橋の裏面など限られた
場所に付着しているといい、そうした場所に付着阻害物質を使うことにより、大量発生の
軽減につなげられる可能性がある。

石井助教は「実用化すれば、環境への負荷の少ない方法で、漁業者らの被害軽減を
目指せるはず。同様に漁業に大きな被害が出ているエチゼンクラゲへの対策にも
つなげたい」と話している。

 ミズクラゲ 傘の直径約15センチで、日本を含む世界中の温帯の沿岸域を中心に
 生息する。幼生が海中の岩や岸壁などに付着し、イソギンチャクのような姿のポリプ
 となって成長。くびれができ、1つひとつ離れ、クラゲとなる。

(2010年5月7日 読売新聞)

▽画像
大量発生して問題となるミズクラゲ=中国電力提供
http://osaka.yomiuri.co.jp/photo/20100507-095065-1-L.jpg
ミズクラゲの嫌う成分を含んでいることが確認された石垣島産の海藻・マクリ=オーピーバイオファクトリー提供
http://osaka.yomiuri.co.jp/photo/20100507-095083-1-L.jpg

▽記事引用元
http://osaka.yomiuri.co.jp/university/research/20100507-OYO8T00479.htm
YOMIURI ONLINE関西発(http://osaka.yomiuri.co.jp/index.htm