中国で発見された恐竜の新種は、走りにかけてはワイリー・コヨーテと互角だったかも
しれない。“ロードランナー”という愛称を与えられたこの小型恐竜は、かつて存在してい
たアルヴァレスサウルス類の中でも最も身体が小さく脚の長い恐竜の1つである。
アルヴァレスサウルス類は走るのに適した長い脚を持っていたことで知られ、現生の
鳥類まで繋がる、これよりも大型の恐竜の系統に含まれる。
今回の新種の恐竜(学名:Xixianykus zhangi)の化石は、北京の南約400キロにある河
南省で2009年の春に地元の農民が発見した。この恐竜が生息していたのは8500万年前
の白亜紀後期とみられる。
見つかったのは体の一部の化石だが、この恐竜は体長が約50センチで、長さ約25セン
チの脚を持っていたと推測されている。また、ひざから下の長さに比べて大腿部(太もも)
が短いことが最大の特徴の1つで、その短さはアルヴァレスサウルス類の中でも際立って
いる。
「大腿部の長さの比率から考えて、この恐竜は非常に大きな歩幅で素早く走ることができ
たと思われる」と、北京の中国科学院を拠点にこの恐竜の骨格を研究する古生物学者
デイビッド・ホーン氏は話す。
この“ロードランナー”の前肢部分は残っていないが、アルヴァレスサウルス類に特有の
筋肉の発達した腕と大きな爪を持っていた可能性が高い。この前肢は、シロアリの塚を引
き裂いたり丸太に穴を開けたりして好物の昆虫を獲るのに適していた。このことは背骨と
骨盤の化石からも裏付けられる。「体の前半分はねじれないようになっているため、少ない
エネルギーで走ることができ、また、何かを掘るときには姿勢を維持しやすい」とホーン氏
は説明する。
さらに、近縁種の化石の多くに羽毛が見つかっているため、この恐竜にも羽毛があったと
考えられている。
ホーン氏によれば、この恐竜は持久力に優れた長距離ランナーで、少ないエネルギーで
長い距離を走りながら獲物を探すことができた可能性が高いが、ずる賢いティラノサウルス
がいきなり飛び出してきても瞬時に全力疾走して逃れることができるスプリンターでもあった
かもしれないという。
この研究は2010年3月29日発行の「Zootaxa」誌に掲載されている。
ソース:ナショナルジオグラフィック
http://www.nationalgeographic.co.jp/news/news_article.php?file_id=20100401002&expand ★依頼97より