薬の動き、体外から観察 理化学研が世界初成功
理化学研究所分子イメージング科学研究センター(神戸市)は9日、風邪薬としても市販される
非ステロイド性抗炎症薬のうち6種類の化合物について、体外から生体内での動きが見える
ようにすることに世界で初めて成功した、と発表した。
がん診断などに使われる陽電子放射断層撮影装置(PET)を使った。
これらの化合物はアルツハイマー病やパーキンソン病などとのかかわりも指摘され、
病態の解明や治療薬の開発に向けた応用が期待される。
同センターの研究チームは、共通の化学構造式を持つイブプロフェンなど6種類の化合物に、
微量の放射線を出す炭素の放射性同位元素で目印を付けた。化合物が脳に届きやすいよう
化学構造式の一部を変換した上で、ラットに投与。
PETの画像解析から、脳の炎症を起こした部分に集積することが分かった。
これらの化合物の解熱や鎮痛、炎症を抑える効果は分かっているが、生体内でどのように
動くかについては観察できなかった。また、常用している人がアルツハイマー病などの
神経変性疾患になる確率が低いことも知られているが、詳しい仕組みは解明されていない。
鈴木正昭チームリーダーは「今回成功した方法を活用することで、さまざまな病気のもとになる
炎症の診断や、新薬の開発につなげたい」としている。
(鎌田倫子)
(2010/03/10 06:45)
▽記事引用元 神戸新聞
http://www.kobe-np.co.jp/news/shakai/0002770980.shtml ▽関連リンク
理化学研究所
解熱・鎮痛作用を示す薬に目印をつけ、体内での可視化に成功
−PET分子イメージングで抗炎症薬の体内の動きを見る−
http://www.riken.go.jp/r-world/research/results/2010/100309/index.html