アジアの諸民族の遺伝学的な系統関係が、日本などアジア10カ国の研究者による
国際共同研究で明らかになった。言語や文化の異なる73集団(約1900人)を対象に、
ゲノム(全遺伝情報)の個人差を詳細に解析した成果で、11日付の米科学誌
「サイエンス」に発表した。
日本、韓国など東アジア人の祖先は、数万年前に東南アジアから移住した可能性が高いという。
現生人類(ホモ・サピエンス)は10万〜20万年前にアフリカに出現し、世界各地に進出した。
東アジア、東南アジア地域の移住ルートには諸説があり、はっきり分かっていない。
研究チームは、一塩基多型(SNP)というゲノムの個人差に基づいて、集団間の
近縁関係を解析した。その結果、遺伝学的な系統と言語学的な近縁性はよく一致。
たとえば、日本人の集団は本土住民、沖縄住民ともに韓国人と近縁で、
言語学上はアルタイ語族に属する。また、ゲノムの多様性は全体として、
南の集団から北の集団に向けて枝分かれする傾向がみられた。
日本から研究に参加した菅野純夫・東大大学院新領域創成科学研究科教授は
「遺伝子の大きな流れからみると、日本人を含む東アジア集団の起源は東南アジアにあると
推定される。ただし、今回の解析にはアイヌなど北方の民族が含まれていないので、
反論の余地もあるだろう」と話している。
ゲノムの個人差の集団的解析は、薬の効き方や副作用に関係する遺伝子研究の基盤情報になる。
ソース:産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/science/science/091211/scn0912110400002-n1.htm