【昆虫】「ほとんど働かないアリ」の存在意義…「誰も仕事をしなくなる時間」を無くすため

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★存在重要「怠けアリ」…「働きアリ」だけだと集団破滅

働きアリを「よく働くアリ」「ほとんど働かないアリ」に分けて、それぞれの集団(コロニー)
を作り直しても、一定の割合で「働き者」「怠け者」に分かれることが北海道大学の長谷川英祐
(えいすけ)准教授(進化生物学)らの研究でわかった。

誰も働かなくなる時間を減らし、安定した労働力を保つ集団維持の戦略と見られる。茨城県つくば市
で開かれている日本動物行動学会で28日発表された。

長谷川さんらは、日本全国にいる「シワクシケアリ」の八つの集団に、1匹ずつ印をつけて幼虫の
世話、巣の修復など集団に貢献する「仕事」をどのくらいこなしたか、1か月間行動を観察。その
うち「よく働くアリ」「ほとんど働かないアリ」を取り出して、それぞれの集団を作り直した。
その結果、どちらも元の集団同様「よく働くアリ」「ほとんど働かないアリ」に、ほぼ同じ割合で分かれた。

働きアリも疲れて休息するが、「働かないアリ」がいるほうが、集団全体で「誰も仕事をしなく
なる時間」が減ることがコンピューターの模擬実験でわかった。長谷川さんは「幼虫や卵の世話は
少しでも中断すると集団全体の死につながる。そのため、わざわざ働き方に差がでるような仕組みを
とっているのではないか」と話している。

http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20091128-OYT1T00427.htm