東北大大学院工学研究科の坂本祐二助教(宇宙工学)らの研究グループは、
超小型の地球観測衛星「RISING―2」(雷神2)の開発に着手した。
今年1月に打ち上げたスプライト観測衛星「雷神」の後継で、
高解像度で地球を撮影する望遠鏡などを搭載する。
打ち上げ時期は未定だが、年度内に製作を完了する予定だ。
事業は今月2日、本年度の文部科学省の「超小型衛星研究開発事業」に採択された。
雷神の開発に携わった同研究科の吉田和哉教授(宇宙ロボット工学)、
北大大学院理学院の高橋幸弘教授=地球物理学、7月まで東北大=も参加する。
機体は重さ50キロ弱、約50センチ四方の立方体で既に設計に着手。
海外の超小型衛星による地上観測では、識別できる最小距離の解像度が5メートルに迫るという。
雷神2の具体的な目標は今後決めるが、研究グループはできるだけ高い解像度で
地上撮影できる望遠鏡を製作する。
併せて雷神と同様の機器を搭載し、雷雲の上空に現れる放電発光現象スプライトも観測する。
地球大気の現象を宇宙からとらえる。
高橋教授を中心に、光の強さの分布をさまざまな波長帯で観測できる撮影装置開発にも取り組む。
機体完成後は、搭載する望遠鏡や撮影機器の試験を入念に行い、打ち上げに備える。
雷神は2月に発生した通信障害で観測ができない状況が続くが、
ほかの技術は地上試験の結果とほぼ変わらないことが検証できたという。
このため、通信障害の原因を分析して必要な部分は改良するが、それ以外の技術は雷神2に引き継ぐ。
坂本助教は「将来、複数の超小型衛星で地球観測を行うことを視野に、
観測技術を確立したい」と言う。吉田教授は「民間の企業などとも連携して機器を製作し、
宇宙開発のすそ野を広げたい」と話した。
河北新報
http://www.kahoku.co.jp/news/2009/11/20091124t15010.htm