神経機能の発達に重要な役割を果たす特定のタンパク質を、
京都大大学院医学研究科の西英一郎准教授(循環器内科学)らの研究チームが突き止め、
23日付の米科学誌「ネイチャー・ニューロサイエンス」(電子版)に掲載された。
脊椎(せきつい)動物の体内にあるタンパク質「ナルディライジン」が、
運動や認知機能にかかわる神経の一部「軸索(じくさく)」の発達をコントロールすることを
動物実験で解明。脳などに異変が起こる多発性硬化症や、認知症治療に期待されるという。
軸索は、神経細胞が受けた情報を脳に伝える働きを持ち、発達すれば軸索自体が太くなり、
軸索の近くにある絶縁体「髄鞘(ずいしょう)」が軸索に巻きつく構造。髄鞘に巻かれた軸索が増えると、
情報を伝えるスピードがアップし、運動機能や認知機能が上昇するという。
研究チームは、マウス実験で運動神経や記憶力を計ったところ、
このタンパク質をなくしたマウスは運動機能が2分の1〜3分の1程度の低下がみられ、
短期記憶力も下がり、人の認知症の初期の症状が現れることがわかったという。
西准教授は「このタンパク質は、神経機能が正常に発達する上で不可欠とわかった。
認知症患者らでこのタンパク質が不足しているかなどを調べ、投与による治療の可能性も考えていく」としている。
■ソース
http://sankei.jp.msn.com/life/trend/091123/trd0911230303002-n1.htm