◇体内時計が血糖コントロールに強く関連
マウスおよびヒトの幹細胞のほか、遺伝子操作したマウスを用いた実験で、
生体の生物学的時計(体内時計)と血糖コントロールとの間に強い関連があることが
米国の研究グループにより明らかにされた。研究著者である米スタンフォード大学
(カリフォルニア州)医学部助教授Brian Feldman博士は「ヒトの生体リズムが代謝の調整に
不可欠な別の経路の中に直接組み込まれていたことには驚かされた」と述べている。
研究グループは、グルコ(糖質)コルチコイドと呼ばれる副腎皮質ホルモンの日内変動が、
血糖値を制御するメカニズムの一部として体内時計と同調していることを突き止めた。
この知見は、糖尿病患者の血糖値をコントロールする新しい方法につながるほか、
夜勤で働く人の肥満および糖尿病リスクが高い理由について理解を深めるのに役立つと思われる。
今回の知見は、重症喘息、癌(がん)などの治療に用いられる免疫系の抑制作用をもつ
プレドニゾンのようなグルココルチコイド製剤にみられる機能障害性(disabling)の副作用を
軽減する方法にもつながる可能性がある。副作用には体重増加、血糖値の制御不全、
糖尿病などがある。例えば、生体の日内リズム(早朝にピークがある)に合わせたパターンで
グルココルチコイドを使用するなど、単純に投与方法を変えるだけでも糖尿病リスクを軽減
できる可能性があると、Feldman氏は述べている。
この研究は、米国科学アカデミー発行の「Proceedings of the National Academy of Sciences(PNAS)」
オンライン版に10月5日掲載された。
▽記事引用元
http://health.nikkei.co.jp/hsn/hl.cfm?i=20091015hk000hk NIKKEI NETいきいき健康(
http://health.nikkei.co.jp/)