HAM原因細胞を特定 鹿児島大大学院出身・山野医師
(2009 08/14 10:36)
鹿児島や宮崎に患者が多いとされ国の難病に指定されている「HTLV−1関連脊髄(せきずい)症
(HAM)」で、脊髄に炎症を引き起こす原因細胞を聖マリアンナ医科大学難病治療研究センター
(神奈川県)の分子医科学研究部門長で准教授の山野嘉久医師(40)=鹿児島大学大学院
医歯学総合研究科出身=らの研究グループが突き止めた。
治療法が確立していないHAMの根本的な治療薬開発につながることが期待される。
研究成果は5日付の米科学誌プロスワンに掲載された。
HAMは成人T細胞白血病(ATL)と同じHTLV−1ウイルスが原因の病気。
ウイルス感染したリンパ球の一種のT細胞が脊髄に達し神経を破壊する。
T細胞にはさまざまな種類があり、それぞれ表面に異なるタンパク質を持っている。
感染したT細胞の中で、どの種類が脊髄を攻撃するか、これまで分かっていなかったため、
有効な治療法がないのが現状だ。
山野医師らのグループは、ATL患者に多いタンパク質「CCR4」を持つT細胞に注目。
ウイルスに感染すると、HAM患者では脊髄に炎症を促す物質「インターフェロン・ガンマ」を
放出するように変化していることが分かった。
さらに、HAM患者には「CCR4」を持ちインターフェロン・ガンマを放出するT細胞が健康な人の
約150倍あり、多いほど重症度が高いという相関もみられたことから、HAMの発症に重要な
かかわりを持つ細胞であるとし、「T HAM細胞」と名付けた。
山野医師は「T HAM細胞を破壊する治療薬が開発されれば、HAMはもちろんのこと、
T HAM細胞が異常に多いという報告があるHAM以外の免疫疾患の治療にも可能性が
広がる」と話している。
鹿児島大学大学院難治ウイルス病態制御研究センターの出雲周二教授は
「HAM治療の実現につながる大きな一歩。患者にとって光になる」と話した。
▽記事引用元
http://www.373news.com/modules/pickup/index.php?storyid=18703 373news.com(
http://www.373news.com/)