食欲増進ホルモン、お酒も進む 独などのグループ発表
2009年7月29日7時12分
食欲を増進させる効果などが知られるホルモン「グレリン」は、
アルコールも飲みたくさせる――ドイツなどの研究グループが、
グレリンにこんな機能があることを、マウスの実験で確かめた。
将来のアルコール依存症の新薬開発につながる成果だ。米科学アカデミー紀要で発表した。
グレリンは空腹になると胃などから分泌されるホルモン。
99年に発見され、食欲の増進のほか、成長ホルモンの分泌を促すことが知られていた。
研究グループは、このホルモンを感知する受容体が、
脳内の満足感を生じる「報酬系」と呼ばれる領域にもあることに注目。
マウスの脳に直接グレリンを注射したときに、水とアルコールのどちらをよく飲むか調べた。
すると、グレリンを注射したマウスは、生理食塩水を注射したマウスに比べ、
アルコールの摂取量が約1.45倍になった。
受容体が働かないようにする薬物を与えたマウスや、受容体をなくしたマウスでは、
グレリンを注射しても効果がなかった。グループはグレリンが食欲だけでなく、
アルコールのような嗜好(しこう)性物質を求めるなどの役割があるのではないかとみている。
グレリンを発見した寒川賢治・国立循環器病センター研究所長は
「グレリンがアルコールの摂取にも影響していることは、これまで知られていなかった。
興味深い結果だ。ただ、治療薬開発につなげるにはまだ解明すべき点が多い」と話す。(本多昭彦)
▽記事引用元
http://www.asahi.com/science/update/0725/TKY200907250234.html asahi.com(
http://www.asahi.com/)