過去に地滑りが起こり、将来も再び災害が起こる恐れもある場所を示した地図を防災科学技術研究所
(茨城県つくば市)が作製した。東北や近畿、四国を中心に約25万カ所あった。
自治体や住民が地域の危険な場所を確認したり、ダムや道路を造るときの基礎資料に使ったりできる。
地図は、過去の地滑りでできたがけや、滑った土砂が積み上がった起伏など、幅100メートル以上の
痕跡を航空写真を使って研究員が一つひとつ確認して作った。実績図だが、地形や地質が地滑りが
起きやすい場所では長期にわたって繰り返されるため、将来の予測にもなる。
約30年前から約20キロ四方ごとに地図を作り始め、今年3月に東北から九州までの約860枚が完成、
作製中の北海道などを除き1枚の地図にまとめて全体を分析した。
東北地方の奥羽山脈の一帯には、昨年の岩手・宮城内陸地震の荒砥沢(あらとざわ)ダム近くで
起きたような長さ1キロを超える巨大な地滑り跡が750カ所あった。山形県鶴岡市の映画「おくりびと」の
ロケ地で地滑りが続いている場所も図示されている。紀伊半島から四国地方にかけては、
活断層の「中央構造線断層帯」に沿って連なっていた。
地滑りの影響については、国土交通省が住宅などに危険を伴う「地すべり防止区域」
7472カ所(07年度末現在)を指定し、対策工事をしている。
今回まとめた地図は、山間部も含めた全体を網羅している。
地域の詳細な図は同研究所が「地すべり地形分布図データベース」としてウェブ上で公開している。
http://www.asahi.com/science/update/0617/images/TKY200906170142.jpg (鈴木彩子)
(asahi.com)
http://www.asahi.com/science/update/0617/TKY200906170141.html