手足の先から筋肉が萎縮(いしゅく)していく「遠位型ミオパチー」を研究している
国立精神・神経センター神経研究所(東京都小平市)のグループが、
生物界に広く存在するシアル酸を使った有効な治療法を、マウス実験で
世界に先駆けて発見した。
米医学誌「ネイチャーメディシン」に十日、論文が掲載された。
数種類ある遠位型ミオパチーで、今回有効な治療法が見つかったのは
「縁取り空胞型」と呼ばれる種類。
十代後半から三十代後半に発症し、十年ほどで歩けなくなる。
治療法はなく、日本には患者が四百人程度と希少疾病となっている。
空胞型は、二〇〇一年にイスラエルの研究グループが「GNE遺伝子」の変異が原因と発表した。
GNE遺伝子は人や動物の全身組織に存在するシアル酸の合成に必要で、
患者はシアル酸の量が半分程度に減少していることが報告された。
しかし、病気を発症しても脳や内臓は正常なことから、シアル酸の減少が
病気の原因かどうかは分からなかった。
同研究所の野口悟研究員(43)、西野一三医師(45)らはまず、
変異したGNE遺伝子を持ったモデルマウスを作ることに世界で初めて成功。
一部のマウスにシアル酸を溶かした飲み水を与えて観察したところ、
投与しないマウスは二十週で筋力低下や筋肉のやせが始まり病気を発症し、
四十週で病気の特徴である縁取り空胞が筋肉内にできた。
シアル酸を投与したマウスは、五十五週で解剖しても発症していなかった。
西野医師は「患者への有効性は臨床試験で確認される必要があるが、
シアル酸補充療法が有効なことは立証された。治療法の確立へ大きな第一歩になる」と
話している。
<遠位型ミオパチー>
筋疾患には腕や大腿(だいたい)部など体幹に近い部位から筋肉が萎縮する「近位型」が多く、
代表例に筋ジストロフィーがある。ミオパチーは本来、筋疾患と同じ意味だが、
一般には筋ジストロフィー以外のものをミオパチーと呼ぶ。
手足の先から筋肉が萎縮する「遠位型」は海外でも少なく、正確な患者数は把握されていない。
ソース:東京新聞
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2009061102000063.html ◇関連スレ
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