NASAがスペースシャトルに代わる次世代有人ロケットとして開発を進めている
「[アレスI](Ares I)」に関して、打ち上げ時に時速12.7マイル(約20キロ)以上の
横風が吹いた場合、「リフトオフ・ドリフト(liftoff drift)」というロケットの横滑り
現象が起き、ロケットが打ち上げ途中で倒壊を起こし、打ち上げが失敗する
可能性があるとするシミュレーション結果がでていたことが27日、ケープケネディー
宇宙センターがある米フロリダ州ケープカナベラルの地元紙「オーランド・
センチネル」の報道により明らかとなった。
「リフトオフ・ドリフト・カーブ・モデル(liftoff-drift-curve model)」によるシミュレー
ションの結果判明したもので、仮に打ち上げ直後に南東方向から時速12.7マイルの
海風が吹き込んできた場合、最悪の場合には「アレスI」は発射と同時に発射塔に
倒れこみ発射台もろとも大爆発を、最良の場合でも「アレスI」のロケット噴射が
発射塔に接触することで、発射塔が大きく損傷を起こす可能性がでてきた模様だ。
「アレスI」の打ち上げが可能な発射台はケープケネディー宇宙センター内の第39Aと
第39Bの2基の発射台しか存在しておらず、ロケット噴射による発射塔が損傷した
だけでも米国の宇宙開発計画は大きな痛手を与えることとなる。
このシミュレーションの結果、「アレスI」の開発ステータスは「悪い(BAD)」から
「最悪(WORST)」に変更せざるを得なくなったとも報じられており、来年に打ち上げ
実験が予定されていた「アレスI」の第一次試験評価用ロケット「アレスI-X(Ares I-X)」の
打ち上げも延期される可能性もでてきた。
「アレスI」に関してはファーストステージに用いられている固体ロケットブースター
固有の問題から打ち上げ時の振動が許容度以上になることがやはり、コンピューター
モデルを使ったシミュレーションの結果から判明。
ファーストステージとセカンドステージの間にコンピューター制御のアクティブ・
ショック・アブソーバーを設置すること打ち上げ時の衝撃を吸収する方向で設計
変更が加えられられることが決まっていた。
ソース:
http://www.technobahn.com/cgi-bin/news/read2?f=200810271856 Technobahn 2008/10/27 18:56
【参考】
■NASA
Ares Launch Vehicles
http://www.nasa.gov/mission_pages/constellation/ares/index.html ■Orlando Sentinel
http://www.orlandosentinel.com/news/space/orl-ares2608oct26,0,561055.story