国内では46年ぶりの天文ショーが、あと1年に迫った。
来年7月22日に観測される皆既日食。楽しめるのは鹿児島県の種子島、
奄美大島などが浮かぶ南方の海域だけ。国内外から数万人が集まりそうな
勢いで、ホテルや船上ツアーの予約が次々に埋まっている。
日食は地球、月、太陽が一直線に並び、地上から見ると太陽が月の陰に
隠れる天文現象。太陽が完全に隠れるのが皆既日食だ。
観測できるのは皆既帯と呼ばれる地域。来夏はインド西部で始まり、中国、
日本を通過し、太平洋を横切ってキリバス周辺で終わる。国内で絶好の
観測ポイントはトカラ列島や屋久島、種子島、奄美大島、小笠原諸島の周辺。
それ以外では部分日食になる。
次回の皆既日食は2035年。今回は太陽が完全に隠れる時間が6分以上と
長く、天文ファンが注目している。
「太陽のコロナが見え、昼間なのに真っ暗になる。一度見るとまた見たくなる。
日食病です」。17年前にメキシコで観測した熊本県民天文台(城南町)の
艶島敬昭台長(59)も楽しみにしている。
奄美大島ではすでに予約がいっぱいのホテルもある。「何万人も観光客が
来るのはありがたい」と歓迎する声の一方、あるホテルの男性従業員は
「泊まる場所がなくて野宿をする人がいると、ハブが心配だ」と話す。
種子島も満室のホテルが相次いでいる。心配の種はH2Aロケット。打ち上げ
時期と重なると、三菱重工業や宇宙航空研究開発機構などの数百人が
島に宿泊する。ホテル関係者は「いつも利用してくれる人たちを断るわけに
いかないし……」と困惑している。
皆既日食が見られる南西諸島から小笠原諸島にかけての海上には、国内の
豪華客船も勢ぞろいしそうだ。天気が悪くても移動できるため、「陸地より
観測しやすい」と人気を集めている。
日本クルーズ客船は「ぱしふぃっくびいなす」での観測ツアーを企画。国立
天文台の渡部潤一准教授ら専門家が同行し、6月末に参加者を募ったら
1週間弱で約500席が予約でいっぱいになった。4泊5日で17万〜66万円。
北野芳克営業部長(60)は「こんなに関心が高いとは読めなかった」と驚く。
日本チャータークルーズの「ふじ丸」は兵庫県立大がツアーを企画。5月に
募集したところ、半日で約200席が埋まった。約200人がキャンセル待ち
しているという。
ソース:
http://www.asahi.com/science/update/0722/SEB200807210024.html http://www.asahi.com/science/update/0722/SEB200807210024_01.html 画像:
http://www2.asahi.com/science/update/0722/images/SEB200807210025.jpg 朝日新聞 2008年7月22日12時44分