科学技術振興機構(JST)はこのほど、独創的シーズ展開事業・委託開発の開発課題
「多患者細胞自動培養装置」の開発結果を成功と認定しました。
本開発課題は、北海道大学大学院教授 木 睦らの研究成果をもとに、平成17年3月から
平成20年3月にかけて川崎重工業株式会社に委託して、企業化開発を進めていたものです。
再生医療では、ドナーの細胞を培養して組織を再生します。再生医療用に培養する細胞は、
間葉系幹細胞を主体とする接着系細胞です。
この接着系細胞の培養操作は、現状では医療用のクリーンルームであるCPC(Cell Processing
Center)内で手作業によって行われていますが、交差汚染の面から無菌操作が必要で、
複数患者の細胞を同時に取り扱うことは大変難しく、また汚染防止のための制約が大きいため、
苦痛を伴う作業となっています。
接着系細胞の培養が自動化できれば、再生医療の普及に大きく貢献でき、また、再生医療以外の
分野でも、創薬研究などで細胞を使用するニーズがあるため、自動培養装置による一定品質の
細胞の安定した供給が望まれています。
本新技術では、要素技術として滅菌技術と画像処理技術、ロボットを使った自動培養技術を開発し、
それらを組み合わせて複数患者の細胞を自動培養することを可能としました。本新技術を用いた
装置により、培養・増殖用の複数の個室と共通作業部を区分して共通作業部を蒸気滅菌し、
培地交換や継代培養などの作業をロボットで行うとともに、画像処理を組み合わせることが可能となり、
ほぼ人手を介さずに複数患者の細胞を同時に目視培養することができるようになりました。
信州大学に設置した評価機では、再生医療で最も多く使われる骨髄液中の間葉系幹細胞の
自動培養を実現し、手作業による培養操作と同等の増殖性能、品質を得られました。
また実用機では創薬研究などの細胞培養への使用を目指しており、幹細胞以外の多様な接着系
細胞について、安定した品質の培養細胞の供給が実現できる見通しがつけられました。
今後、iPS細胞などの再生医療への応用開発の加速化に向けて、再生医療の臨床や創薬研究など
での細胞自動培養装置の使用が期待されます。
(ソース長文の為一部抜粋しました。詳細は以下のソースをご覧下さい)
ソース:
http://www.jst.go.jp/pr/info/info524/index.html 画像:
http://www.jst.go.jp/pr/info/info524/icons/zu1.jpg http://www.jst.go.jp/pr/info/info524/icons/zu3.gif 科学技術振興機構プレスリリース 2008年6月12日