東アジアでよく見られる遺伝的変異は、スポーツ競技で事実上使用が禁じられている
ホルモン、テストステロンの検出を妨げることがある。
スウェーデンの研究チームが医学誌Journal of Clinical Endocrinology and Metabolism
(臨床内分泌学と代謝)に発表した。
逆に、同じ遺伝子の現れ方がわずかに違うだけで、間違って陽性と判断される危険性も
あるという。
一般的なテストステロン検査は、尿に含まれる2つの化学物質、
テストステロン・グルクロニド(TG)とエピテストステロン・グルクロニド(EG)の比率を
測定することで行われる。
TGは体内で作られるテストステロンの副産物で、EGはテストステロンが血中に注射されても
常に残る物質。国際五輪委員会(International Olympic Committee、IOC)によると、
この比率が4対1を超えるとドーピングの疑いがあると判断される。
ところが、「UGT2B17」として知られる遺伝子の保有数によって、この検査結果は20倍
もの差が出る可能性がある。ドーピングを隠すこともあれば、間違って陽性と判断される
こともある。
ストックホルムのカロリンスカ研究所(Karolinska Institute)のJenny Jakobsson氏率いる
研究チームは、男性被験者55人に対し、事実上、すべてのスポーツ団体によって禁止されて
いる薬物、テストステロンエナント酸エステル500ミリグラムを投与した。
被験者は「UGT2B17」の保有数(1、2、なし)によって3つのグループに分けられた。
その結果、「UGT2B17」を保有していない被験者の40%以上が薬物投与後15日間、
テストステロンの値が許容範囲内だったのに対し、その他2つのグループの検査結果は
100%陽性だった。
Jakobsson氏はテストステロンを対象としたドーピング検査を効果的に行うためには、
遺伝子を考慮する必要があると指摘している。
AFPBB 2008/04/24
http://www.afpbb.com/article/environment-science-it/science-technology/2381804/2858117