●ポイント
・ 高脂血症治療薬であるフィブレートが体内時計を変化させることを発見した。
・ 睡眠相後退症候群(DSPS)モデルマウスによる実験で活動リズムの正常化が認められた。
・ 睡眠(リズム)障害の新しい治療薬として期待できる。
■ 概要
独立行政法人 産業技術総合研究所【理事長 吉川 弘之】(以下「産総研」という)生物機能工学研究部門
【研究部門長 巌倉 正寛】生物時計研究グループ 石田 直理雄 研究グループ長、大石 勝隆 主任研究員は、
筑波大学大学院 白井 秀徳 氏、早稲田大学 理工学術院 柴田 重信 教授らとともに、高脂血症治療薬で
あるフィブレートによって体内時計の調節が可能であることを発見した。
夜行性の齧歯(げっし)類であるマウスを明暗環境下で飼育した場合、通常その活動時間帯は夜間に
限られている。このマウスに、フィブレートを餌とともに投与すると、活動時間帯が約3時間前進
(早寝早起き)し、明期の後半から活動を始めるようになった。
活動時間帯が後退(夜更かし朝寝坊型)する睡眠相後退症候群(DSPS)のモデルマウス(時計遺伝子の
壊れたマウス)にフィブレートを投与したところ、活動時間帯の正常化が確認された。
フィブレートは核内受容体PPARαに特異的に結合することから、PPARαをターゲットとした新規な睡眠
(リズム)障害治療薬や時差ぼけ改善薬などの開発につながるものと期待される。
■ 開発の社会的背景
遺伝性の睡眠障害に加えて、社会の24時間化に伴う様々な睡眠障害が社会的問題となっている。
概日リズム睡眠障害と呼ばれる一連の睡眠障害の発症には、時計遺伝子によって構成されている
体内時計が関係しているものと考えられているが、その詳細なメカニズムに関しては不明である。
睡眠障害の治療法としては、特別な装置を必要とする高照度光療法や、ビタミンB12やメラトニンの
投与が一般的であるが、その作用メカニズムは不明であり、効果に関しても大きな個人差が
認められている。そのため、従来の治療法とは作用メカニズムが異なる、新規睡眠障害治療法の
開発が望まれていた。
(
>>2以降に続く、詳細はソースを御参照下さい)
ソース:産業技術総合研究所
http://www.aist.go.jp/aist_j/press_release/pr2007/pr20070425/pr20070425.html