美男美女ほど異性にモテて子孫を多く残しているはずなのに、美男美女だらけにならないのはなぜ?[04/03]

このエントリーをはてなブックマークに追加
1冷やし中華 部分的に終わりました(060918)φ ★
“魅力的”な個体ほど、パートナーを得るチャンスが大きく、それだけ多く
子孫を残せることになる。これを“性選択”、“雌雄淘汰”、または“性淘汰”
と呼ぶ。ヒトの場合も、簡単に言えば美男美女ほど多くの子孫を残せること
になる。ダーウィンによると、女性が最も魅力的な男性を選択すれば、その
遺伝子がやがて“ありふれた遺伝子”として広まることになる。

このメカニズムが長い歳月を通じて脈々と作用してきたのだとすれば、美男
美女の遺伝子は“ありふれた”ものとなり、世の中は美男美女だらけになって
いるはずだ。だが、美男美女は、いまだに少数派である。

容姿に優れた人ほど社会的に優遇されやすいという明らかな傾向が
ある。総合的に考えれば、容姿の優れた人(あるいは知能の高い人)ほど、
子孫を残せる可能性が高くなるはずである。だとしたら、やはり美男美女が多くの
子孫を残していることになる。にもかかわらず、美男美女は少数派である。

英国ニューカッスル大学のマリオン・ピートリー教授とギルバート・ロバート
博士が唱える新説によると、優れた遺伝子を持つ男女(簡単に言えば“美男美女”)
がいくら多くの子孫を残しても、子孫が美男美女になるのを阻むメカニズムが
働いているという。

“雌雄淘汰”によって、より魅力的なパートナーが選ばれるなら、同じ形質を受け
継ぐ子孫が増える・・・というのがダーウィン説の基本だが、実際には異なる
ケースがあり(人類の場合を含めて)、“レック・パラドックス(lek paradox)”
と呼ばれてきた。ダーウィンに批判的な学者は、これを根拠にダーウィン説には
欠陥があると主張してきた。

これに対し、ピートリー教授とロバート博士は、“雌雄淘汰”が逆に遺伝子の
多様性を引き起こすのではないかと考えている。優れた遺伝子を引き継ぐはずの
子孫にも、遺伝子の突然変異が生じる。“雌雄淘汰”が進むと、突然変異の中でも、
DNA修復系に影響を及ぼす突然変異が発生しやすくなるという。

このような変異が生じた人の場合、DNA修復系が十分に機能しなくなり、せっかく
優れた遺伝子を持つ両親(または先祖)からDNAを引き継いでも、DNAの損傷を
うまく修復できない。このため、損傷したDNAがそのまま子孫に引き継がれること
になり、多様性が拡大していく。

つまり、せっかく美男美女や高学歴、あるいはスポーツ万能など、優れた血筋に
生まれても、そのDNAが忠実に受け継がれているとは限らないことになる。

ピートリー教授は、こう述べている。「過去10年間の研究により、遺伝的変異/
多様性に関して観察されることがらと高い合致性を示すモデルを確立できた。これは、
われわれの理論の正しさを示すものと考えている。性選択は、従来考えられていたの
とは逆に、遺伝的多様性を促進しうるものであることが明らかになった」

簡単にまとめると、美男美女の血を引き継いでいても、数世代先まで行くと、その
血筋の中でだんだんと美男美女の比率が下がってくる。突然変異のせいである。
・・・ということになるだろう。

美男美女(あるいは、その他の優れた能力を持つ男女)ほどパートナーに恵まれ
やすいのに世の中が美男美女だらけにならないのは、これが理由かもしれない。

もっとも、“より魅力的な異性を選ぶ”という性淘汰自体が人類の間ではさほど
支配的に作用していないと見る方が妥当な気もする。相手の容姿や能力に関しては
妥協して夫婦になることが多いだろうし、外見や能力よりハートを大事にする人も
多いだろう。(抜粋)

http://news.bbc.co.uk/1/hi/england/tyne/6502249.stm

(日本語訳・解説)
http://rate.livedoor.biz/archives/50367861.html