そううつ病に関与の酵素を解明 線虫使い名大グループ
そううつ病との関連が指摘されながらも脳内での働きがよく分かっていない酵素「インペース」が、
特定の神経細胞で働き掛けて動物の正常な行動にかかわっていることを、
名古屋大理学研究科の森郁恵教授、久原篤助手、大学院生の谷沢欣則さんらのグループが
線虫を使った研究で解明した。
そううつ病の治療を進展させる手掛かりとなる成果として期待される。
米科学誌ジーンズ・アンド・デベロップメント(電子版)に研究論文が掲載された。
森教授らは、線虫が温度を感じて行動する「温度走性」という学習能力を持っていることに着目。
この能力を失っている線虫を調べたところ、インペースの遺伝子に異常があった。
さらに細胞レベルで解析すると、線虫の行動を制御するRIAと呼ばれる神経細胞で、
インペースが働いていることも判明した。
そううつ病の治療薬の1つであるリチウムは、脳内でインペースに働きかけて症状を改善すると
みられているが、どのようなメカニズムで効果を発揮するのかは、十分に分かっていない。
谷沢さんは「人間の脳内での働きを解明する手掛かりとなる」と話した。
中日新聞
http://www.chunichi.co.jp/00/sya/20061211/eve_____sya_____011.shtml