T-Engineフォーラムと(社)トロン協会は5日から、東京国際フォーラムにて
TRONやT-Engine(リアルタイムOS用プラットフォーム)、ユビキタスID技術を用いた
プロジェクトを披露する展示会“TRONSHOW 2007”を開催する。
展示会前日の4日には、実行委員会委員長でT-Engineフォーラム会長の
坂村健 東京大学教授による、開催案内と見どころの紹介、および
展示会に合わせて行なわれた“ucode”(ユビキタスID)関連の発表に関する説明などが行なわれた。
説明会ではまず坂村氏により、開催の概要や会期中に開かれる特別イベントについての説明が
行なわれた。特に坂村氏は5日の17時30分から展示会場(※1)にて開かれる
“東京ユビキタス計画・銀座オープニング”について触れ、2007年1月から、
銀座4丁目を中心に1万個ほどのICタグを街路や建物など至る所に埋め込み、
PDA型のリーダー端末を使って都市の情報を提供する実証実験を、1年ほどかけて行なうとした。
期間中に行なわれる特別セッションについても述べられたが、
セッションのひとつ“ucode・EPC・独自コードの相互運用技術”について坂村氏は、
“ICタグとユニークなID情報”を活用する点で似ているため、とかく対立構図で描かれがちな両規格を、
「ucodeとEPC(Electric Product Code)は敵対するものではない」
と何度も述べ、相互運用が可能な技術であるとした。
またucodeとEPC、その他の独自コードを用いた相互運用実証実験を、会場にて行なうことも紹介した。
TRONSHOW 2007の来場者証にはICタグが埋め込まれているが、単一のコードではなく、
配布される来場者証によって異なるコードが使われている。
それを会場内各所に設けられたリーダーを使い、ユーザー側がコードの違いを気にせず
同様のサービスを受けられることを実証するとのことだ。
坂村氏が所長を務める“YRPユビキタス・ネットワーキング研究所”(以下YRP)や提携企業により
開発された技術/機器についての発表も行なわれた。
小型軽量化された新しい携帯情報端末“ユビキタス・コミュニケータ”(UC)の新モデルや、
人間工学の研究に基づき設計されたという左右分離型のTRON配列USBキーボード
“μTRON(マイクロトロン)キーボード”などが披露された。特にキーボードについては、
「金型製作などお金がかかるもので、なかなかできない」
と述べたうえで、TRONプロジェクトの開始以来、理想的なものを
「何十年越しで作ることができた」
とした。
しゃべる“電脳コンクリート”も出展?
そのほかにも、ucodeやICタグを活用した開発事例として、日本ユニシス(株)などが開発した、
企業内の備品管理にucodeを活用するソリューションや、東邦製薬(株)がすでに物流に活用している
事例などが紹介された。またYRPと住友大阪セメント(株)の共同開発事例として、世界初という
しゃべる“電脳コンクリート”も発表された。これはコンクリートの強度試験用サンプル(供試体)を作る際に、
ICタグを挿入。後日の強度試験時にICタグの情報を参照したり、試験データの書き込みを行なうことで、
従来紙と手作業で行なっていた作業をIT化できるとした。“しゃべる”というのは、供試体のICタグに
UC端末を近づけると、タグ内の情報を読み取って読み上げる点を称している。
コンクリート内にICタグを埋め込む技術は、単にサンプルの管理だけに止まらない。
点字ブロックにICタグを埋め込み、視覚障害者の移動の補助に活用する“自律移動支援プロジェクト”
への参画も行なわれているという。この技術は東京ユビキタス計画のような、ICタグを街の各所に
埋め込み、情報提供に活用する用途にも使えるだろう。さらにこの技術を活用し、建材のコンクリートの
品質を購入者が確認できる“コンクリート製品トレーサビリティシステム”も構築するという。
建材に使われるパネル状のコンクリートにICタグを装着し、施工後の品質管理に活用する。
これにより、建築物のユーザー(住宅であれば住人)の、品質に対する不安の解消にもつながるとしている。
発表された機器やソリューション、技術については、5日からのTRONSHOW会場で披露される。
会期は7日まで。
TRONSHOW 2007公式サイト (
http://www.tronshow.org/)
http://ascii24.com/news/i/topi/article/2006/12/04/666290-000.html