身体の多様な細胞に分化する能力がある胚(はい)性幹細胞(ES細胞)を、受精卵(胚)を壊さずに作
ることに人間で成功したと、米バイオベンチャー企業アドバンスト・セル・テクノロジー(ACT)の研究チー
ムが24日、英科学誌ネイチャーの電子版に発表した。
この方法は、生殖補助医療(不妊治療)の体外受精後、胚に遺伝的問題がないか調べるため、細胞
を1つだけ採取して調べる「着床前診断」(PGD)の技術の応用。同チームが昨年10月、マウスで成功し
たと発表していた。
ES細胞は脊髄(せきずい)損傷などの再生医療への応用研究が進んでいるが、母胎に戻せば赤ちゃ
んになる体外受精卵を壊すという倫理問題があり、反対論が根強い。PGD技術でES細胞用に細胞1つ
を採取した後の胚が、無事赤ちゃんに成長するなら、この問題が解消するという。
ただし、研究チームは、安全性への懸念がなくなるまで、この方法の実施は勧められないと指摘。
また、ES細胞を再生医療に応用する際には、患者に移植した際の免疫拒絶反応を避けるため、患者
の細胞核を使ったクローン胚からES細胞を作る必要がある。クローン胚は母胎に戻すとクローン人間
が生まれる可能性があり、廃棄しなければならないため、倫理問題を克服しきれない。
日本では文部科学省が2001年9月に施行した指針で、不妊治療で余り、いずれ廃棄される受精卵に
限り、ES細胞作成への使用を認めている。 (時事通信) - 8月24日6時2分更新
ソース:yahoo(J)-時事通信
(´・ω・)つ【
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060824-00000011-jij-soci】
*調節卵: 動物の卵で。実験的に卵割初期の割球を分離してもそれから完全な個体が発生する型の
卵を指す。思に、ウニ、イモリ、ヒトなどがこれにあたる。この性質を応用する事で、卵割途中
の卵から細胞が1つ抜け落ちても、正常な分化発生能を示す事が出来る。
*倫理問題:今回の技術の場合、受精卵に秘められた「ヒトの誕生」という未来図を壊すことなくES細胞
を得ることが出来、このことにより、1個体の起源となる受精卵を破壊してはいけないという倫
理のジレンマを回避する事が出来るようになる。