大型スキャナーで顔料成分推定 ふすま絵など正確に後世に
ふすま絵や掛け軸などの文化財をデジタル保存しながら絵に使用されている顔料
成分を推定するスキャナーを、京都大教授や大日本スクリーン製造(京都市上京区)
などのグループが共同で開発した。非接触・非破壊で顔料成分を調べることができ、
作者・年代の解明や描かれた当時の色の再現などへの活用が見込まれ、文化財の
保存・研究の新たなツールとなりそうだ。
科学技術振興機構研究成果活用プラザ京都(京都市西京区)の産学交流事業で、
開発したのは読み取った画像から顔料を推定するシステムと、幅90センチ、高さ2
メートルまでのサイズに対応した大型高精度スキャナー。
顔料推定システムは、江戸時代以前の大和絵が緑青や黄土など劣化が少なく安定
している鉱物由来顔料を使用していることに着目。読み取った画像に光の三原色
(赤緑青)がそれぞれどれだけ含まれているか調べることなどで、データベースに蓄積
した大和絵顔料の色成分と照合、推定する仕組み。
顔料は琳派や狩野派など各流派、時代で特徴があることから作者や制作年代など
が特定できる可能性が高いという。原画の汚れや退色などにも対応し、現在さらに
精度を高めるため基礎データを収集しているという。
スキャナーも大型機種で世界最高レベルの精度に高め、従来のスキャナーや写真
では原画の色を出すのが難しかった金箔(きんぱく)も忠実に再現できるようになった。
(以下略)
京都新聞
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060815-00000005-kyt-l26