【生化学】理化学研究所、細胞の働きに影響するミトコンドリアDNAの個人差を特定 日本人が長寿である要因に関連する可能性

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◇ポイント◇
・ 細胞内のカルシウム調節に関与しているミトコンドリアDNAの多型2カ所を特定
・ 特定した多型のうち1カ所は日本人が長寿である要因に関連する可能性
・ 長寿のメカニズムやさまざまな病気のかかりやすさの解明につながることが期待

 独立行政法人理化学研究所(野依良治理事長)は、細胞の働きに必要なミトコンドリアDNA
約1万6千塩基対に含まれるさまざまなヒトの個人差(多型)の中から、細胞内のカルシウムイオン
(Ca2+)の濃度調節※1に関与していると考えられる多型2カ所を特定しました。理研脳科学総合
研究センター(甘利俊一センター長)精神疾患動態研究チームの数野安亜リサーチアソシエイト、
宗像可枝研究員、加藤忠史チームリーダーらと、同センター細胞機能探索技術開発チーム
(宮脇敦史チームリーダー)及び東京都老人総合研究所健康長寿ゲノム探索研究チーム
(田中雅嗣チームリーダー)などによる研究成果です。

 ミトコンドリアは、エネルギー代謝に関わる細胞内小器官であり、細胞内のCa2+濃度の調節や
細胞の生死の決定など、生命にとって極めて重要な役割を果たしています。ミトコンドリアは
細胞核のDNAとは別に、独自のDNAを持っています。このミトコンドリアDNAは個人差が大きく、
さまざまな病気の発症に関与していると考えられるとともに、長寿や運動能力など色々な身体の
働きの個人差と関連していると考えられてきました。しかしながら、細胞核の遺伝子を制御し、
その機能を探る遺伝子工学技術は確立しているものの、ミトコンドリア内の遺伝子にこれらの
技術を応用することは難しく、ミトコンドリアDNAの個人差が、細胞の働きにどのように関与して
いるかはほとんど分かっていません。

 研究グループは、ミトコンドリアDNAを持たない細胞に、被験者の血小板を導入し、融合させた
細胞を作成しました。この処理により、被験者ごとのミトコンドリアDNAを持った細胞を作成する
ことができます。この細胞には、あらかじめCa2+濃度変化を調べることができる蛍光タンパク質を
組み込んでおり、これらの細胞を用い、Ca2+濃度変化と遺伝子の個人差を調べたところ、
ミトコンドリアDNA中の多型の2ヶ所(8,701番目、10,398番目)が、ミトコンドリアのpHおよび
カルシウム濃度の変化に関与していることを突き止めました。2つの多型のうち10,398番目の
塩基配列には、G型とA型とがあり、今までの研究によりG型は、日本人で長寿者に多く見られる
ことが指摘されています。また、欧米人に多いA型は、パーキンソン病、アルツハイマー病、
躁うつ病などとの関連が指摘されています。こうしたことから、今回得られた知見は、長寿の
メカニズムやさまざまな病気のかかりやすさの解明につながると期待されます。

 本研究成果は、米国の科学雑誌『PLoS Genetics』※2(2006年8月号:2006年8日11日オンライン)
で発表されます。

(以下略、詳細はソースを御参照下さい)

ソース:独立行政法人 理化学研究所
http://www.riken.jp/r-world/info/release/press/2006/060811/detail.html

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