複数の言語を使いこなす人が言語を切り替えるとき、脳の「左尾状核」という部分が
重要な役割を果たすことを、国立精神・神経センター神経研究所(東京都)の花川隆
研究室長ら、日、英、独の共同チームが突き止めた。言語切り替えの仕組みは長年の
謎だった。9日付の米科学誌「サイエンス」に掲載された。
研究チームは独語と英語の両方、または日本語と英語の両方が分かる人35人に
テレビ画面上に二つの単語を0・25秒間隔で提示。最初の単語を見た瞬間と、
二つ目を見た後で、脳の働きがどう変わるかを調べた。
日本語の「サケ」と英語の「TROUT(マス)」など、言語は違うが意味が近い単語を
続けて見せると、意味や概念を記憶する「左側頭葉」の活動は、二つ目の単語で低下。
似た意味だと脳内での処理効率が上がり、二つ目は低い活動でも処理できるためと
考えられた。ところが、同様の組み合わせの単語でも、「左尾状核」の部分は、
二つ目を見た時の方が働きが高まった。チームは、左尾状核が異なった言語への
対応を担うと考えた。言語の種類の判断役か、別の言語に切り替えるスイッチ役の
どちらかとみている。
毎日新聞
http://www.mainichi-msn.co.jp/science/kagaku/news/20060609ddm012040086000c.html