タンパク質を捕まえる濾紙
−ピコモル濃度のタンパク質を簡便に検出することに成功−
タンパク質を効率的に捕捉するセルロースの開発に成功した。
木材や紙、綿などの主要な構成成分であるセルロースは、地球上で最も存在量が多い
天然高分子であり、衣類や食品、トイレットペーパーや生分解性プラスチックなど、
我々の日常生活とも関わりが深い高分子材料である。セルロースでは、グルコースの
直鎖状高分子が集まってナノファイバーを形成し、ナノファイバーが集まって
マイクロファイバーを形成し、このマイクロファイバーから網目状に絡み合った
セルロース繊維が形成される。このような階層構造を有するセルロースは、丈夫で柔らかく、
高い吸湿性を示し、かつ環境にも優しい天然高分子である。
近年、再生可能な資源の活用、あるいは医療やヘルスケアに貢献する新材料の開発に向けて、
セルロースの高機能化に大きな期待が寄せられていた。
セルロース繊維の最小の構成要素は、直径が数10ナノメートルのファイバーである。
黄研究員らは、今回、このような極細のナノファイバーを壊すことなく、
その表面に高密度かつ均一に生体分子をコーティングすることに世界で初めて成功した。
この技術の開発により、特定のタンパク質を効率的に吸着させることが可能となった。
階層的な構造をもつセルロースでは、比表面積が著しく大きく、単位体積当たりに形成される
吸着(分子認識)部位の数が極めて大きくなる。このため、今回の実験では、
ピコモル濃度のタンパク質を容易に検出することが可能であった。 (途中省略)
(以下省略)
ソース 平成18年4月28日
独立行政法人物質・材料研究機構
http://www.nims.go.jp/jpn/news/press/press148.html セルロースのナノファイバーへのビオチンとストレプトアビジンの固定化、ならびにビオチン化した分子の結合(模式図)
http://www.nims.go.jp/jpn/news/press/img/press148.jpg