くねくねとしたヘビの姿には嫌悪感や恐怖感を覚える人が多いが、
米カーネギーメロン大では今、災害時などの人命救助のため、
ヘビの動きを手本にしたロボットの開発が進められている。
研究を率いる同大のハウイ・チョセット教授によると、チームが開発
しているのはがれきの間を縫うように動き回り、下敷きとなった生存
者らを捜索するロボット。「今の捜索作業では、がれきを1つ1つ取り
除くしか方法がなく、長い時間がかかってしまう。一方ヘビ型ロボットは、
直ちにがれきの下に潜り込み、捜索を開始することができる。岩やが
れきを動かすことで生存者を傷付けてしまう心配もない」と、同教授は
説明する。
ヘビ型ロボットはカメラとセンサーを搭載し、小型モーターで動く。
人間の腕ほどの大きさで、材質は軽量アルミやプラスチック。操縦
かんのような装置で遠隔操作することができる。まさにヘビのように
すき間を探り、やぶやフェンスなどの障害物も通り抜けて進む。
チームではこのほど、ロボットに排水管のようなパイプの内部や外側
を這い上らせる実験に成功した。
ただし「ロボットはより良い道具にすぎない」というのが、チョセット教授
の持論。「すべては操作する救助隊員にかかっている。現場の英雄は
かれらだ」と、同教授は強調する。
インターネット上でロボット業界の情報などを配信するロボティック・
トレンド社のダン・カラ社長によると、ヘビ型のロボットはほかの大学な
どでも開発されているが、「パイプを上るロボットは初めて」だという。
連邦緊急事態管理局(FEMA)の捜索チームを率いるサム・ストーバー
氏も、「大型ハリケーン『カトリーナ』の被災地にヘビ型ロボットがあれば、
捜索作業に役立ったはず」と、チームの発想を評価する。
チョセット教授によると、ロボットが実用化される時期は「研究資金次第」
だが、あと5−10年はかかる見通しだという。
http://www.cnn.co.jp/science/CNN200604230004.html