食欲をコントロールする際に重要な働きをする脳内のたんぱく質を、
米コロンビア大糖尿病センターの北村忠弘・助教授、ドミニコ・アッシリ教授
(ともに内分泌学)らのチームがラットを使った実験で突き止めた。
人でも同様の仕組みがあるとみられ、糖尿病や肥満などの生活習慣病の
治療につながる成果。専門誌「ネイチャー・メディシン」電子版に発表した。
脳の視床下部には、食欲を促進する物質(Agrp)と抑制する物質(Pomc)がある。
レプチンというホルモンが、Agrpを減らしPomcを増やすことで食欲を抑えることが
これまでに知られているが、北村助教授らは、「FoxO1」というたんぱく質に注目。
このたんぱく質が働いているときは、レプチンを投与しても食欲は衰えなかった。
一方、ラットに半日間絶食させても、「FoxO1」の働きを止めておくと、食事量は
増加しなかった。つまり、「FoxO1」が食欲促進物質を増やしていることになる。
北村助教授は「FoxO1の働きを調節することで食欲をコントロールできる可能性
がある。動物で効果が出れば、人の治療への応用を考えていきたい」と話している。
(2006年4月16日20時11分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20060416i212.htm