神戸大理学部は二十八日、魚の受精卵が分化する際、「マイクロRNA(リボ核酸)」の
一種が制御にかかわっていることを、米国、英国の研究チームと共同で突き止めたと発表
した。生命が発生する初期のメカニズムの一端が分かり、人間の遺伝病の原因解明や
新薬への応用も期待できるという。
同学部の井上邦夫助教授(分子生物学)によると、淡水魚ゼブラフィッシュの発生初期に、
マイクロRNAの一つ「miR430」が、遺伝子からタンパク質への合成過程で必要な「メッセン
ジャーRNA」を分解することを発見した。分化の段階に応じて必要なタンパク質になる分だけ
を残し、不要なタンパク質ができないようmiR430がコントロールすることで、次のステップに
分化が進むという。miR430が欠損したゼブラフィッシュは、不要なタンパク質もできるため、
脳などが十分発達しないという。
研究チームは、miR430が分解するメッセンジャーRNAが二百種以上に上ることも確認。
井上助教授は「マイクロRNAの他の働きについても、研究を進めたい」としている。
研究論文は、米科学誌「サイエンス」のオンライン版に掲載された。
マイクロRNA RNAは細胞内で遺伝子の情報を写し取り、タンパク質の合成などを手助け
する分子。マイクロRNAは小型のRNAで、千種類ほどあるという。タンパク質の合成ではなく、
細胞分化などにかかわるとされる。
ソース
http://www.kobe-np.co.jp/kobenews/sg/00048845sg200604011000.shtml Zebrafish MiR-430 Promotes Deadenylation and Clearance of Maternal mRNAs
Published online February 16 2006; 10.1126/science.1122689
http://www.sciencemag.org/cgi/content/abstract/1122689v1