ロードアイランド州ナラガンセット(AP) インドネシア南部バリ島に近いスンバワ島で、
1815年のタンボラ火山大噴火によって埋没した集落と思われる遺跡が発掘された。
1815年4月10日に起きたタンボラ火山の大噴火は人類史上最大のもの。
火山灰やガス、軽石がスンバワ島を襲い、8万8000人が犠牲になったといわれる。
この噴火は、1883年に島自体が吹き飛び津波を引き起こした、
同国スマトラ島南東部クラカタウ山の噴火と比べても、少なくとも4倍の威力があった。
噴火により大気中に吐き出された約4億トンの火山ガスなどのため、世界規模で
気温が低下し、歴史に残る「夏のない年」を招いた。米メーン州では6─8月になっても
遅霜が続き、農作物が立ち枯れた。フランスやドイツでもブドウやトウモロコシが
枯れたり収穫が遅れるなど、広い範囲で農業に影響を与えた。
スンバワ島での発掘は地元住民が骨や陶器片を発見した谷で行われている。
ノースカロライナ大学とインドネシアの火山学関係者らで構成される調査チームは
地下探査装置を使って発掘作業を行い、噴火があった当時の地層から
かやぶき小屋の一部や陶器、青銅、炭化した人骨2体をみつけた。
炭化した女性の骨は台所と思われるところで見つかり、金属製の包丁と
溶けたガラス瓶が近くに落ちていた。もう一体は家の入り口前に倒れていた。
スンバワ島には1800年初頭にオランダとイギリスの探険隊が調査に訪れ、
インドネシアの他の地域とはまったく違う言語をもつとして注目されていた。
むしろインドシナ地域の言語に似ているという説もあるが、西洋人がタンボラに
出会ってまもなく、この文化は噴火により消滅してしまった。
出土した陶器の中にはベトナムのものに共通の特徴があり、ここに暮らした人々が
インドシナ地方から来たか、インドシナ地方との交易関係があったことをうかがわせる。
発掘チームを率いるロードアイランド大学の火山学者は、
「タンボラの噴火で彼等の言葉は消え去った。
しかし、発掘される物を通して彼らに再び語ってもらえるだろう」と話している。
ソース
http://www.cnn.co.jp/science/CNN200603010018.html