ペットとして身近な文鳥が中国語と英語を聞き分けることを、慶応大の
渡辺茂教授(実験心理学)らが実験で確認した。サルやネズミなどの
ほ乳類が複数の言語を聞き分けることは分かっていたが、鳥類での
確認は初めて。人間の言語能力の解明にも役立つという。
渡辺さんらは、「源氏物語」や「吾輩は猫である」の英語訳と中国語訳
をバイリンガルの留学生に朗読してもらい、録音した。日本語は、文鳥が
普段から聞いているので使わなかった。
そのうえで、止まり木に乗ると英語の録音が流れ、餌が食べられる
ように文鳥を訓練した。
その後、英語と中国語の録音をランダムに流し、英語が流れた直後に
止まり木に乗った時だけ文鳥が餌を食べられるようにした。英語を聞いて
止まり木に移った時と、中国語を聞いて止まり木に移らなかった時を「正解」
としたところ、正解率は75%になった。
別の2羽を、中国語が流れた時にだけ餌を食べられるように訓練した
結果も同様だった。
渡辺さんによると、文鳥やインコなどさえずりが上手な鳥は孵化(ふか)
後に種独特のさえずりを覚えるため、言語の聞き分け能力が高い可能性がある。
渡辺さんは「人間は意味が分からない言語でも、抑揚や発音からある
程度聞き分けることができるが、文鳥にも同様の能力があるようだ。脳の
構造などの共通点を調べれば、音声の認識メカニズムの解明につながる」
と話している
http://www.mainichi-msn.co.jp/science/kagaku/news/20060206k0000e040028000c.html