米国環境保護庁(EPA)が、家畜の排泄物による将来の大気・水汚染を抑制する
ためのデータの提供と引き換えに、汚染を引き起こした家禽・養豚農場・酪農場に
対する重い罰金を免除する新たなルールの実施に乗り出した。EPAは鶏・七面鳥飼育・
酪農・養豚を営む2681の企業体とこのための協定を結んだが、30日、
環境苦情処理委員会が全体を代表すると考えられる20(採卵養鶏場:10.養豚場:10)
の協定を正式に承認した。
42州の6700の小規模農場から巨大農場をカバーするこれらの協定に調印した企業体
は、過去と今後4年間の違反に対する一日当たり27500ドルの罰金の支払を免除される。
これら農場は、代わりにデータ収集のために行われる煤煙や浮遊有機物質の排出の
監視を受け入れる。また、そのための費用を賄うためのEPAの基金に2500ドルを払い込む。
データ収集が終わった後には、大気清浄法、有害廃棄物法に従い、また、過去と現在
の汚染に対する農場数・規模に応じた200ドルから10万ドルの罰金も支払わねばならない。
このような協定は、家畜農場による大気汚染を推定する方法の改善が必要という
2002年の全米科学アカデミーの報告を受けて考案されたもので、EPAは、このような
協定がなければ大気汚染の基準の完成には10年以上かかり、企業は
汚染物質排出抑制策策定をめぐる科学的不安定性を抱えることになると言う。
これが最善の環境政策であるとともに、最善のビジネス政策でもあるというわけだ。
家畜生産者も歓迎する。
しかし、これは全国で起きている巨大家畜農場周辺住民の苦情の訴えから汚染企業を
解放する。協定にもかかわらず、EPAは、重大な公衆衛生上の脅威を引き起こした場合
には、即座に企業に対する行動を取る権限を保持し、州や地方政府の企業農場に対する
自身の法の執行にも影響はない。しかし、 シエラクラブなど環境団体は、この政策は
これら住民の運動を打ちのめすものと批判してきた。
http://www.juno.dti.ne.jp/~tkitaba/agrifood/agrienvi/06020101.htm