厚生労働省の作業班(座長=高坂新一・国立精神・神経センター神経研究所長)は
18日、特定の組織などに分化する「幹細胞」を利用し、傷んだ臓器などを修復する
再生医療を臨床研究として試みる際の指針案を、我が国で初めてまとめた。
心筋症など重篤で生命を脅かす病気と、脊髄(せきずい)損傷など身体機能を著しく
損なう障害に研究対象を限定。
安全性や倫理面などについて、国と研究機関で二重に審査する体制を整備する
必要性を盛り込んだ点が大きな特徴だ。
同省は、専門委員会の決定を経て今夏にも施行する方針で、日本でも幹細胞を
利用した再生医療が本格的にスタートすることになる。
指針案の対象となる幹細胞は、血液や骨髄、皮膚などに含まれ、神経や心筋など
特定の細胞のもとになる「体性幹細胞」。全身の様々な臓器や組織の細胞に変化する
可能性を持つヒト胚(はい)性幹細胞(ES細胞)は、日本では基礎研究しか認められて
いないため、今回の指針案の対象から外した。
また、安全性が確立していない臨床研究のため、インフォームド・コンセント(説明と
同意)は不可欠だとしたうえで、幹細胞の提供者や、臨床研究の被験者となる患者は、
いつでもその同意を撤回できるとした。
また、死体からの幹細胞採取は、生前に提供を拒否していない限り、遺族の許諾で
可能とした。ただし、臓器移植法に基づいて脳死判定された人からは採取できない。
ソース YOMIURI ONLINE(2006/01/18)
http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20060118i415.htm