県内に生息するヘイケボタルのほとんどが、国内のほかの地域のホタルとは異なる遺伝子の型を
持っていることが、長野ホタルの会(三石暉弥会長)などの研究で分かり、三石会長が18日に
信大教育学部(長野市)で開く信州生態研究会で発表する。これまでは「南東北・関東」の一部に
分布するホタルと同じ仲間とみられていたが、新たに「甲信越グループ」と名付けた。長野県の
山が多い地形がホタルの移動を制限し、独自の型をつくったとみられる。
同会は2001年から3年間、県内25カ所、県外3カ所でヘイケボタルを5匹ずつ採集した。福井工業大に
遺伝子分析を依頼。全国各地のヘイケボタルの遺伝子と比較した。
その結果、県内では東信や中信、南信、下高井郡山ノ内町の19カ所のホタルが甲信越グループの
遺伝子を持っていた。北信地方の6カ所は、甲信越や南東北・関東とも違う「東日本型」だった。
同会などが同時期に行った調査で、甲信越グループのホタルは山梨県内と神奈川県西部の一部にも
分布していることが分かった。
これまでの研究で、富山、岐阜、愛知、静岡以西では「西日本型」のホタルが分布していることが
知られている。県内のホタルが周辺と異なることについて、三石会長は「長野県や山梨県は高い山に
囲まれており、周辺のホタルと交わることがなく、独特のグループを形成したとみられる」とする。
県内各地で最近、ホタルを増やす目的で県外からヘイケボタルを購入する例がみられる。だが、
西日本産のホタルを購入すると、県内では生息してなかった西日本型の遺伝子を持つ種類が交ざる
可能性もあるという。
三石会長は「自然なままの遺伝子を守るためには、型が異なるホタルを放さないでほしい」と話している。
http://www.shinmai.co.jp/news/20051215/KT051212FUI090005000022.htm