大阪府立大中百舌鳥キャンパスの研究棟の一角にある実験室。
所々黒ずんだパイプやタンクなどからなる過熱水蒸気発生装置を使った研究が、
「水で焼くオーブン」で知られるシャープの大ヒット商品「ヘルシオ」の開発につながった。
約10年前から高温の水蒸気で猛毒のダイオキシンを分解する研究をしていた
宮武和孝教授に、シャープから共同研究の話が持ち込まれたのは2001年夏。
300度の過熱水蒸気を食品に噴射して調理する業務用のシステムを家庭で実現するため、
熱効率をアップする研究を積み重ねた。過熱水蒸気が食品の脂や塩分を落とす効果を
データで裏付けるなど、大学ならではの貢献で商品の特性にお墨付きも与えた。
産学連携の成功例と言われる。宮武教授は
「技術ニーズと研究のシーズ(種)がうまく合致した。
目標をはっきりさせ、商品化の最終段階まで協力することが成功の秘訣(ひけつ)」
と話す。
>>2-4 「大学が単に技術のシーズを提供するだけでなく、企業と大学が一緒に課題を設定する時代が来た」
東京で先月開かれた産学官連携サミットで小宮山宏・東京大学長は強調した。
大学や企業の幹部らが参加するサミットは今年で5回目。
数字上の産学連携の進展を踏まえ、より多くの技術革新や具体的な成果を生み出す
連携の在り方を求める発言が相次いだ。
量の拡大だけでなく、質の向上へ。日本の産学連携の真価が問われ始めた。
http://osaka.yomiuri.co.jp/university/rensai512/dn51202a.htm