ベルリン(ロイター) 南極大陸周辺の海に浮かぶ氷山の1つから、
歌のような音が出ている――。ドイツの研究者らがこのほど、3年前に
観測した珍しいデータを発表した。そのままでは人間の耳で感知できないが、
高速で再生すると、オーケストラが演奏前にウォーミングアップしているような
音に聞こえるという。
極地及び海洋研究財団アルフレッドウェーゲナー研究所のチームは、
02年7月から11月にかけ、南極大陸から大西洋側に張り出した棚氷上で
地震や地殻変動のデータを収集している際に、過去に例のない
はっきりとした音の信号を観測した。音源を調べてみると、
縦50キロ、横20キロほどの氷山が海中に張り出した陸地と衝突し、
その周りをゆっくりと動いていることが分かった。氷山の底が海底に落ち着くと、
その割れ目や穴を海水が勢いよく通り抜け、「氷山は歌い始めた」という。
観測された音の周波数は0.5ヘルツ前後と、人間が聞き取れる音域より低かったが、
高速再生ではハチの群れの羽音のようにも聞こえた。
チームの研究者によると「本物の歌と同様、音は上がったり下がったりする」という。
研究の成果は、25日付の米科学誌サイエンスに掲載されている。
http://www.cnn.co.jp/science/CNN200511250017.html