食道本来の波打つような蠕動(ぜんどう)運動と、熱によるがん治療も可能
という世界初の多機能人工食道を、東北大加齢医学研究所の山家(やんべ)
智之教授(人工臓器)らのグループが、東京都内の中小企業と開発し、24日、
特許を申請した。
今後、動物実験で耐久試験を行い、実用化を目指す。
食道がんは発見された場合、切除不可能なケースが多い。その場合、食べ
物をのみ込めなくなるため、人工食道を患部に埋め込むが、食べ物が詰まる
のが難点だった。
山家教授らは人工心臓などに使うシリコンのチューブを材料にし、チューブ
に付けた特殊な形状記憶合金のリングを順番に収縮させ、蠕動運動を起こす
ことで問題を解決した。リングに流す電流は、腹部に穴を開けずに体外の電源
からコイルに供給し、さらに胃袋内のコイル(長さ5センチ、直径1センチ)に送
る。内側はヌルヌルとした高分子で被覆し、食べ物が通過しやすくなった。また、
がんが42・5度以上の熱に弱い性質に着目。体外の電源を通じて発熱する
特殊な金属でチューブの外側を覆い、人工食道の外側を42・5度程度に加温し
、がんの壊死(えし)を目指す。
(2005年11月25日3時5分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20051125i401.htm