A De Tomasoたちは、ウスイタボヤ(Botryllus schlosseri)のFuHCと呼ばれるDNA配列に ついて調べた。ウスイタボヤは、遺伝的に同一な個体が1つの共通の血管系をもつ群体を形成 する。そこで、2つの群体が並んで成長している場合には、自分の群体の構成員と隣の群体 の構成員とを識別できなければならない。
この認識は、FuHC遺伝子に基づいて行われているらしい。FuHCからは、脊椎動物のMHC 遺伝子座にコードされているのとよく似た「免疫グロブリン」タンパク質類の1つが作られる。 このことは、組織適合性の進化起源がはるか昔に遡って幅広い生物系統にわたっていること を示唆している。この自他を識別する過程が、我々のごく初期の祖先が持つ遺伝子プールを 形作るのに重要だった可能性もあると、G LitmanがNews and Viewsで述べている。
免疫:原索動物の組織適合性遺伝子座位の単離と解析 Anthony W. De Tomaso, Spencer V. Nyholm, Karla J. Palmeri, Katherine J. Ishizuka, William B. Ludington, Katrina Mitcheland Irving L. Weissman Nature 438, 454-459 (24 November 2005) | doi:10.1038/nature04150 http://www.nature.com/nature/journal/v438/n7067/abs/nature04150.html