炭素でできた極微の粒子「フラーレン」を材料にして、さまざまな形の立体を簡単
に作る方法を、物質・材料研究機構(茨城県つくば市)の研究グループが開発した。
フラーレンは60個の炭素原子でできた直径約0・7ナノ・メートル(ナノは10億分の1)
のボール状の炭素化合物。将来の応用が期待される「ナノテク素材」の代表だ。
研究グループは、フラーレンにさらに炭素をくっつける特殊な加工などを施したうえで、アルコールの
一種に溶かした。これを加熱、冷却すると、ラッパ状の筒や球状カプセルなどの形ができあがった。
立体の形は、溶かし込む液体によって、いろいろに変えることができるという。
研究グループの中西尚志研究員は、「できあがった素材は、抗がん剤を病巣に運ぶ微小カプセルや、
燃料電池の電極などへの応用が考えられる。今後は共同研究する企業を募り、実用化に取り組んでいきたい」と話している。
http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20051122i304.htm