浅間山の火山活動を調べるため、東大地震研究所や京大、北大などが
来年まで2年間の予定で、「集中総合観測」に取り組んでいる。同観測は
1974(昭和49)年以降、全国の火山22カ所を対象に実施しており、浅間山
では81年以来2回目。伊豆大島(東京都)や有珠山(北海道)では噴火予知
の成果を上げているため、今回も地下の構造を複数の観測方法によって
明らかにし、きめ細かな観測態勢を組むことで噴火の予知につなげたい考えだ。
昨年9月の噴火時の地殻変動の観測などから、浅間山のマグマは西側の
海面下約1000メートルから火口直下へ向かい、ほぼ垂直に上昇してくる
と考えられている。今回の観測では、地震波が伝わる速度はマグマ内部の
方が岩盤よりも遅い−という“ずれ”を利用し、地下の構造を解明する。
観測に向け8月以降、地震観測点を15カ所新設。これまでの観測網と
合わせて約40カ所で、浅間山を中心に約100キロ圏内の地震を感知し、
広範囲の地下構造を調べる。特に、これまで観測点が少なかった浅間山
西側の観測を強化した。また、来年10月には地下5、6カ所でダイナマイト
を爆発させる人工地震を起こし、浅間山直下の構造を詳しく調べる。
このほか、ヘリコプタによる上空からの磁界や電気抵抗の観測、GPS
(衛星利用測位システム)や水準測量による地殻変動観測、マグマの動き
に伴う重力変化をとらえる重力測定、地質調査も重ねていく。
浅間山は昨年9月に中規模噴火。気象庁は今年6月、火山活動度レベル
を「やや活発な火山活動」の2に引き下げた。東大地震研の武尾実教授は
「集中観測により、小さな兆候も把握できるようになり、より正確な噴火予知
にもつなげられる」と話している。
ソース 信濃毎日新聞(2005/11/03)
http://www.shinmai.co.jp/news/20051103/KT051102ATI090004000022.htm