東北大大学院工学研究科の高村仁・助教授らのグループは、家庭向け
燃料電池用として、電池の燃料となる水素を毎分10リットル製造できる新
型改質器を開発した。メタンと酸素を反応させて水素を取り出す「部分酸化
法」を導入。メタンと水蒸気を反応させる従来型に比べ、10分の1程度の大
きさで、起動も速いという。21日、東京で開かれた科学技術振興機構のシ
ンポジウムで発表した。
改質器はメタンなどから水素を分離し取り出す装置。研究グループは、セリ
ウム酸化物が主原料の「酸素透過膜」をステンレスの枠で囲んだ部品を20
枚重ねて6センチ角の立方体にし、水素などを通す管を取り付けた。
1本の管から空気を供給すると、イオン化した酸素だけが膜を通過。別の管
から供給されるメタンと化学反応を起こし、水素と一酸化炭素ができる。出力
1キロワットの燃料電池に必要な水素10リットルを毎分つくれるという。
首都圏の一部で使われている家庭用燃料電池は、メタンと水蒸気を700
度で反応させ、水素を取り出している。しかし、温度を上げるのに20分以上
かかることなどがネックとなり、普及が進んでいない。
「部分酸化法」は、熱エネルギーも得られるため起動性に優れる。一方で、
効率確保に純度の高い酸素が必要なため、高村助教授らのグループは2003
年、空気中の酸素を分離する酸素透過膜を開発。熱膨張による破損などを
避けるため、外枠との一体化に取り組んでいた。グループは今後、製品化を
目指し、一酸化炭素を取り除くシステムを付ける提携メーカーを探す考えだ。
(河北新報) - 10月22日7時6分更新
ソース
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20051022-00000004-khk-toh