理数系教育に重点を置く文部科学省のスーパーサイエンスハイスクール(SSH)事業の指定を
受ける諏訪清陵高校(諏訪市)は来年度、SSHのコースを受講する2年生(現1年生)20-30人を
対象に米国アラスカ州でオーロラ観測などの海外研修を計画している。同校は太陽黒点観測の
伝統があり、黒点活動と密接な関係があるオーロラ観測に発展させる試み。下見を兼ねて来年3月、
現在の2年生の受講者から4人が5泊6日のアラスカ研修に向かう。
計画だと、来年度のアラスカ研修は2007年3月、5泊6日の予定。オーロラ研究の第一人者で
アラスカ大学の赤祖父俊一教授が所長を務める同大学国際北極圏研究センターなどを訪れ、
オーロラや極地の研究成果を学ぶ。赤祖父教授の指導で実際にオーロラ観測を体験。
磁場測定などもする。
同校は天文学・地理学者として、黒点観測などで活躍した三沢勝衛(1885-1937年)が旧制中学時代に
教師を務めたほか、55年にわたって太陽黒点観測を続ける天文気象部がある。
オーロラは、爆発で太陽から放出される電気を帯びた粒子が地球の磁気圏と相互作用を起こし、
夜空に輝く現象。太陽黒点は粒子が多く放出される時期に増えるとされる。同校教諭が「黒点観測の
伝統をオーロラ観測に結び付けてはどうか」とアラスカ研修を提案。8月に同校校長が知人を通じて
赤祖父教授に打診し、快諾を得た。
研修に向け、来年度のSSHコースに進んだ2年生は、授業でオーロラ発生の仕組みを学び、天文気象部の
黒点観測データの分析をしたり、現地の気象条件などを学習する。SSH事業で提携している大学や企業など
からも観測のノウハウを受ける予定だ。
同校校長は「現地と学校をインターネットで結べば、黒点とオーロラの映像を同時に見ることもできる。
三沢先生も喜んでくれるはずだ」と話している。
http://www.shinmai.co.jp/news/20051021/mm051021sha8022.htm