新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託事業で八戸市の東部終末処理場を
拠点にした「新エネルギー等地域集中実証研究」の電力供給システムが十七日、本格運転を
開始した。同日、同処理場内で稼働式が行われ、下水道汚泥から発生するバイオガスを活用
した発電と太陽光、風力発電などを組み合わせた電力供給がスタートした。
稼働式には、事業を受託する八戸市と三菱総合研究所、三菱電機の三者の関係者ら約百人
が出席。中村寿文市長が「実証研究が地域産業の振興につながり、新エネルギー導入のシン
ボルとなることを期待する」とあいさつし、NEDOの山本隆彦理事は「この研究は世界、日本中
から注目されている。今後の試験で、商用(電力系統)に勝るとも劣らないパフォーマンスを
実証したい」と期待を込めた。
この後、中村市長らがシステム稼働用のボタンを一斉に押すと、間もなく市庁舎本館に電力
供給が始まったことがモニターに表示され、出席者から大きな拍手がわいた。
同研究は、二〇〇三年度から〇七年度までの五カ年計画。人工的に制御できない太陽光
・風力発電と、バイオガスエンジンや二次電池など制御可能な電力供給方式を組み合わせ、
全長五・四キロの専用電線「自営線」で結ばれた研究地域内で安定した電力・熱供給を行う
のが狙い。電力供給能力は七百十キロワット。
「マイクログリッド」と呼ばれる新エネによる分散型エネルギー供給システムの構築を目指す
全国初の試み。各種データを収集・分析し、エネルギー効率性や制御技術、経済性、環境性
などの評価を行う。
今後は、断続的に個別の電力供給試験などが行われ、十一月中旬ごろには全施設をつな
いだ連続運転に入る。江陽、小中野の各小・中学校四校と八戸圏域水道企業団旧庁舎の100%、
市庁舎本館部分もほとんどが新エネ電力で賄われる。
ソース 東奥日報(2005/10/18)
http://www.toonippo.co.jp/news_too/nto2005/1018/nto1018_5.asp